コーチの悩みをほどく「コーチのコーチ」

池上信三/いけがみしんぞう
答えは、すぐ隣にあるのに、なぜか見えないもの。
気づけそうで気づけないコーチのもどかしさを、別の視点からほどきます。
MFフィギュアスケートアカデミー、オフアイスコーチ
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つい見たくなるのは、興味があるから、そして
⋯研究したいから。
だれでも本当は研究者です。
スポーツは、研究ネタがギッシリ詰まった面白ボックス。
嫌なことを根性という価値観にすり替えるより、
勝つための具体的な方法を知りたくなるスイッチを押した方が
選手は確実に伸びる。
好きこそ物の上手なれ。
根性で耐えるスポーツから、
研究心で伸びるスポーツへ。
筋力は必須。そりゃそうです。
身体を支え、動きを安定させ、技術を発揮するための土台になる。
でも、筋力は技術の代わりにはなりません⋯。
・動きの順番がズレている。
・力を入れる部分が違う。
・タイミングが合わない。
・必要以上に力んでしまう。
この状態で身体を鍛えると、競技力が伸びないどころか、落ちることすらあります。
間違った動き、力み、クセまでも、一緒に強化されてしまうからです。
筋力は「正しい技術」と出会ったとき、可能性を大きく押し上げるブースター!
身体を追い込む前に、技術を伸ばす。
筋トレの時間を、技術トレーニングの時間に変えていく。
これが、選手を最速で伸ばす方法でした。
緊張すればパフォーマンスが落ちます。
安心環境ならパフォーマンスが上がります。
・失敗を責められれば挑戦できない
・威圧したら縮こまる
・否定すれば混乱する
だからこそ「安心環境」を整えなければなりません。
・安心して試せる
・自分の小さな変化にも気づける
・失敗を責められないから、挑戦できる
安心環境づくりは、遠回りに見えて、最も確かな上達の入口です。
筋力が強い、バネがある、足が速い、肩が強いなど、誰にでも見える勝利の条件があります。
信頼されている、応援したくなる、周りを勝利に巻き込める、意識が高い、なども、勝利の条件です。
視力が良い、疲労が回復しやすい、代謝が優れる、免疫が強いなど、身体の内側の条件も、勝利の条件です。
独自のテーマを見つけられる、うまい人との差を見つけて自分の動きに反映できる、ルールを深く理解して活用できる、栄養と動作の関係を探れるなど、着眼点や思考範囲の広さも勝利の条件です。
鮮明なイメージを持っている、勝利への確信がある、未来予測を行動のベースにしている、情報を適切に取捨選択できるなど、思考の状態も勝利の条件です。
また、安心環境、応援される雰囲気、サポーター、温かな目線なども、勝利の条件です。
無数にある「勝利の条件のピース」を、「より多く、厚く持っているチーム」ほど「勝利の確率」が確実に上がります。
スポーツは勝利の条件の保有数で勝敗が決まります。
「◯◯の練習をすれば勝てる」という一直線に進む話ではなく、
勝利の条件を知る。条件を確認する。条件を揃える。条件を整える。
これが、勝利に向かうチームがすべきこと。
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「選手がミスした」
ここで怒りが湧くとしたら、「次にミスを起こさせない方法」の選択肢が尽きた証拠。
選択肢が多ければ穏やかになり、選択肢が少なければイラつきます。
選手が何度も失敗しても、次のアドバイスの準備があれば、それを試せば良いだけです。
反対に、次のアドバイスを持っていなければ、怒るしか無い。⋯ということです。
無限に選択肢を発案できれば、どんな状況でも「試したいアイデア」がてんこ盛りなので、怒りが湧くことはありません。
勝利に役立つことはどんな方式も選択肢に入ります。ティーチングがいいとか、コーチングがいいとか、いいとこ取りで、全部やる。
選手が知らなければ教える、選手が知っていれば引き出す。
こうして「選手が自ら情報を集めて自動運転」するよう導いていきます。
現場の悩みは、メンタルだけはない、技術上達の方法だって必要。コーチングだけじゃ無い、教えることだって必要。チームビルディングだけじゃ無い、個を伸ばすことも必要。
・力学から導いた技術
・ゲシュタルト脳
・日本語の特徴を生かした指導言語
・ネガな記憶からのムダ通知に翻弄される心理
・一方向を多方面の視点から見る組織
・無意識がつくらせる未来の設計
これらを横断して、選手とチームが動き出す「別の視点からの次の一手」を見つけます。

過去のサポート。種目/対象者/テーマ
アスリート サポート
ジャンプの成功確率が悪すぎる、というお悩みです。
左右にエッジを滑らせる滑らかな滑りの中にある、フィギュアスケート特有のリズムを掴み取るのをせずに、ジャンプを跳んでいたことを見つけ出し、オンアイスの練習設計と、オフアイスのバランストレーニングの設計を行いました。
コーチの指導を受けていても、長期間成功できないこともあります。この場合、「別の視点の分析」を取り入れることをお勧めします。
※力学的視点を持ち込んだり、コーチと選手の理解の乖離を見付けて橋渡しをしたり、テーマの飛躍があれば細かなステップに分けたりして、着実に前進する足がかりを作る作業です。
左足首の痛みが治らないというお悩みです。
痛みの原因は、左足の接地時に、左足が地面に対して十分な後方への速度が出せていなかったためでした。
さらにその理由は、左足を後ろから前へ持っていく原動力を、腸腰筋の仕事だと考えていたのが主な原因だと判明。左足首の蹴りの力の一部分を使って、左脚を前に跳ね返す動きをすることで解決しました。
これは、いわば「悩みの発生源を見つけて、シンプルな解決策を仕立てる」仕事です。
長期間の悩みは「あなたが探っているところ以外」に原因があることが多いのです。
表現したい動きをしているつもりでも、表現が伝わらないというお悩みです。
人間は、サムアップされれば「グッドのサイン」として捉えるように、特定のカタチや、特定の動きを見ると、無意識的に、そこに意味を見つけます。
関節可動域の限界からリラックスして、もう一段階可動域を広げる練習を通して、伝わる表現を身につけました。
ジャブが短く弱いというお悩みです。
鋭いジャブを打とうとして固くなり、肩甲骨の可動域を止めていたのが原因でした。
肩甲骨の動きの知識と、可動域の広げ方、筋肉がバネになるプロセス、バネ化した肩甲骨の動きがパフォーマンスを出す理由を理解してから、肩甲骨のバネ動作練習+動きが破壊力になるための瞬発緊張(一瞬、全身を固めて伝達エネルギーを最大化する一瞬の動き)を鍛えるエクササイズを新設計してご提供しました。
日本人アルゼンチンタンゴダンサーが、本場の動きに到達する方法が分からないというお悩みです。
本場のダンサーとの骨格の違いからくる、印象の違いと可動域の違いを加味したうえで、アルゼンチンタンゴの特徴的な美しさを保ったまま、クイックな動き、しなやかな動きを織り交ぜて身につけられるよう、解剖学的、生理学的に適したエクササイズを設計してお渡ししました。
長年ギターを弾いているけれど、テンポが速いストロークができず、スローなストロークでは、テンポが乱れるというお悩みです。
また、手首の関節をグラグラにするとストロークにならない。筋肉を使おうとすれば固くなる。というお悩みも感じています。
手首を「手首の弾性強度に共振させるテンポ」で揺らせば、手首のバネ動作になります。説明すると複雑になりますが「実際やるのは簡単」です。
1)手首を優しく固定する
2)肩肘(あるいは胸郭)を揺り動かして、手首がバネ化
この2段階を練習することで出来るようになり、一度出来れば戻りません。
指導者・チーム サポート
中庭ヘッドコーチからは「オフアイストレーニングは、氷上練習の予習」との指示を受けています。
氷上でジャンプが成功するのに必要な、理解と、それを実践するために必要な身体能力の組み合わせを予習としています。
特に「理解」の部分が重要で、ジャンプメカニズムの力学的分析を、脳科学的、心理学的に適した伝え方を行い、筋肉以外の身体能力の要素を伸ばすことを主体にしています。
※筋力以外の身体能力=主に脳の機能向上を目的として、速い動きをゆっくり感じるようになる、見えない部分の動きが把握できる、その日の調子に関わらず動きの位置とタイミングが正確になる、氷上で指示される動きの理解と自動実施(刷り込み)、無意識が味方をしてくれる方法など多岐にわたります。
トライアンフマップセミナー、および、実際の動作から、部員に共通の問題を抽出し、トレーニングに濃縮を行いました。
トライアンフマップは「成功までの手順」と「無意識の稼働」を組み合わせたオリジナルコンテンツです。無意識が成功までの道のりを進ませてくれることを目指しています。
また、さまざまな動作をしてもらうことで、部員に共通の改善点を抽出して、最終的に2~3項目の強化ポイントに濃縮してお渡ししました。
全国大会常連校になってくれました。
名門駅伝部へのトレーニング提供です。怪我人が多く主力選手が試合に出られないため、怪我を無くすトレーニングを設計して欲しいというのが当初の依頼です。嬉しいことに初年度、怪我人ゼロになりました。
走り方指導と、トレーニングの精度を上げるための追加解説などを繰り返し行なっています。
名門校と比較して明らかに体が小さい、高校生になってからラグビーを始める選手が多い、外国人を補強できない、という環境で、勝つための道を探り、練習設計をするというご依頼です。
力学的に適した、スクラム、タックル、フットワークの新設計と、これらを活かしたフォーメーションづくりに加え、無意識を勝利に向けるいくつかの取り組み(※)、指令伝達経路の鮮明化などを行いました。
その年、全国大会に進出できました。
MFアカデミーは、すべての選手を、すべてのコーチが見守る仕組みです。氷上で解決が難しい課題があると、コーチ相談してくれます。
その時、当該選手のオフアイスでの様子と、指導方針を共有します。
コーチと共同で、選手の氷上での動作確認をすることもあり、選手育成の立場による垣根がなく、より良い解決策に向かってみんなで進みます。
近代五種の5種目の中で”走り”に特化した実践セミナーを行いました。
走りの専門家ではないけれど、走りの専門家に匹敵する走りを持っていなければなりません。
多種目をこなす選手たちに、負担が少なく走りが効率化されるよう、セミナーの中で各選手の走りを見極め、個別の改善テーマと、チーム全体で取り組む内容に濃縮してお伝えしました。
MFアカデミーではない、他チームへの合宿に参加しました。
主にジャンプのメカニズム解説と、それを身につける手順を伝えて、合宿に活かすのが目的ですが、無意識が勝利を自動的に導いてくれる方法も併せることで、合宿の効果を高める意図を加えました。
競技団体・企業・学校 サポート
プロテニスプレーヤーの所属会社からの依頼で、一般テニス愛好家向けの、「テニス専用、体のバネの鍛え方」というイベントを行いました。
テニス雑誌に解説されている動きを「体のバネ目線」で解説したうえで、テニスコートで実践する方式です。
例/プロネーションとは、前腕の内外旋ですが、これをバネできた人だけが、プロネーションを活かした強烈なサービスが可能です。そのためには⋯、といった感じに、導入、理解、実践をセットにして回す方式で進めました。
スキー連盟管理下で活躍している「全日本のコーチとトレーナー」を対象とした、指導方法に関するカンファレンスの、講師として登壇させていただきました。
今年のテーマはコミュニケーション。非常に若い選手たちの感性とコーチの感性が合わない場合はどうする?など、具体的な内容の集合体です。
あらかじめ本部長、副本部長、担当役員の方たちとミーティングを重ねて内容を決定して、ミラノコルチナオリンピックのメダル奪取に向けるという明確な意図を持ってのカンファレンスでした。
高偏差値がゆえの、学生コントロールの難しさを、感情的にならずに解決したいとのご依頼です。
問題と感じている出来事の全てを「面白みに変える」ための手順と方法をお伝えして、自分なりの方法に行き着く60分間をご提供しました。
部活動指導員を派遣している企業様から、自社から派遣されているコーチの質の担保を目的とした検定制作依頼を受けて実施し、実行中です。
コンプライアンス、インテグリティー、年代別指導法など、時代を反映した内容であることと、一般的な知識から、現場に踏み込んだ内容を理解・実践できることに留意し、コーチの質を担保できるように設計しています。また、時代の変化に対応したバージョンアップをさせていくという方針も加え、テキストと認定試験を制作しました。
埼玉県戸田市部活指導員研修会の講師を行いました。
法令に定められた内容を、現場の言葉に訳して伝え、現場をイメージした学習機会になるようなスライドを作成して実施しました。
目黒区部活動指導員研修ビデオの制作です。
文化部にも対応できるというご依頼に沿って、「日本語の特徴を指導に活かす方法」を、ぎゅっとまとめたビデオを制作して納品しました。現場の悩みを少しでも解消できるように、ビデオを制作するだけでなく、ビデオをご覧になった指導員からのご質問にお答えもしています。
体のバネの専門家として、1年間の連載をさせていただいた後、動作分析やトレーニング設計者の専門家として、たびたび誌面に登場させていただいています。
地方の陸上連盟からのご依頼で、所属選手200名ほどが参加する、記録の伸ばし方についてのセミナーを開催させていただきました。
陸上競技は、多種多様な種目の集合体であるため、種目ごとのコツではなく、人間の頭と体がどのようにパフォーマンスを出すか、というところに絞って、セミナーを構成しました。
200名全員にとって価値を感じてもらうために、ライブ感を感じながら、笑いあり、ガーンとする発見ありの時間を過ごすことで、学べてしまうようにしました。
